溝口 大助Daisuke MIZOGUCHI
氏名 | 溝口 大助 (Daisuke MIZOGUCHI) |
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所属 職名 | 現代アフリカ地域研究センター / 特別研究員 |
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専門分野(科研費分類) | 文化人類学 |
研究キーワード | 妖術、死、夢見、親族?婚姻、西アフリカ民族誌 |
自己紹介 | 昨年度2023年度の主要研究目的は、マリ共和国最南東部に住むセヌフォ(ポンポロ方言話者)の農村でおこなわれた埋葬儀礼の転写資料を対象とし、そこでなされた墓掘り人たちの仄めかしとしかるべき発話を詳細に分析することで、儀礼上での社会的相互行為の固有性を浮き彫りにすることにあった。 本年度の目的は、埋葬儀礼の転写資料を対象としつつ考察を加え、その死や病いに至る原因(妖術、邪術、精霊、祖霊の怒り、禁忌違反等)についての詳細な事例も整理することにある。 本研究では、上記を対象とした現地語セヌフォ語転写資料整理、学術雑誌論文執筆(『Journal des africanistes』、『Cahiers d'études africaines』等)、文献資料収集、理論的枠組みの構築、補足調査に従事する予定である。年度前半部ではセヌフォ語転写テクストの作成、理論的枠組みの構築、学術雑誌論文執筆準備に集中する。 この研究目的において主要な対象となるのは、死に向かう病者に纏わり付く死者性が徐々にその肉体に色濃く表れてくる段階からはじまり、息を引き取った後、横たわった不動の身体をめぐって、死装束の作業を実行する儀礼執行者たちの相互行為の場面である。 次に、妖術、邪術、精霊、祖霊の怒り、禁忌違反等による死の原因についての噂やインタビューの事例も分析する。 ここで考察されるのは、厳に眼前に実在する遺体を巡る諸儀礼で醸成される社会関係の亀裂と修復の儀礼的プロセスである。そのプロセスを追跡することで、死者の身体が徐々に死者性の濃密な陰影を現出させる局面を浮き彫りにする。 そこで目指されるのは、遺体を前にした儀礼執行者たちどうしが、相互に作業上のやり取りをしつつ、遺体ともコミュニケーションをとることで、ゆっくり醸成されるモノとしての遺体の死者性を記述することである。 独特の生臭い異臭のこもるほの暗い小屋の中で行われる、儀礼執行者たちの遺体を巡る語り合いが、儀礼を通じてモノの基盤が付与された堅固な表象と想像を介して、「脅威」、「恐怖」、「憤慨」を抑制し、しまいにはそれらの否定的感情を「望ましさ」や「好意」に変えることで特異な社会的再生産を果たしていく道程を実証的に解明する。 本研究では、儀礼執行者たちと周囲の村人たちが、時間をかけて死者の肉体と霊魂、そして生者の社会によるそれらの対応にいかに受動的にかかわり持ってきたのかを詳細に記述する方向性から、民族誌記述を進めることで今まで欠如していた議論を補完する。 あわせて、上記学術調査で既に収集された基礎資料と調査村の背景も継続的に整理したい。 とくに(1)父方夫方居住集団が構成する農作業集団の組織化(23集団)の様態の記録、(2)主要64世帯の農作業活動記録、(3)現地調査地の金鉱の村の拡大による社会変化についての記録を整理する。 |
学歴 | 東京都立大学社会科学研究科社会人類学専攻博士課程単位取得満期退学(2006年3月) パリ第五大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得済退学(2009) |
学位 | 修士(文学)(九州大学) 2001年 |
職歴 | 日本学術振興会特別研究員PD(2006-2009) 日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター所長(2014-2023) |
所属学会 | 文化人類学会 |
主要研究業績 | 【論文】
【書籍】
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